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卒業生の皆さんへ

掲載日:2014/03/24

 本日ご卒業を迎えられました2,463名の皆さん、おめでとうございます。皆さんのご卒業を心からうれしく存じますとともに、皆さんのような優秀な人材を送り出すことの出来ることを皆さんとともに歩んできた教員の一人として誇りに思います。これまで皆さんを育ててこられたご家族をはじめ、関連する方々にこころからお祝い申し上げますとともに、本日ご臨席賜りました方々に心からお礼申し上げます。

 入学から今日まで喜びも、悲しみも、そして怒りも、皆さんとともにある時は共有し、ある時は反発し合って、時には皆さんに助けられ、時には皆さんを助けてきたことなど、皆さんとともに過ごすことが出来た日々を教員として、職員として、全教職員がいつまでも誇りに思います。いつまでもあなた方とともにこの大学で学んだ仲間として、いつでも助け合うことの出来る仲間であり続けたいと思います。

 さて皆さんは入学してからいわば大学という環境の中で多くのことを学びました。学ぶテーマも、学ぶ手法も、それぞれ様々であったとおもいます。しかしその個人的なあるいは専門性による多様性は別として大学はそれぞれ人に対してその目的にかなうようにいろいろな学びを提供するということが使命のひとつであります。大学はそのために努力している存在であり続けなければなりません。たとえばある分野における学びでも、ある課題について学ぶということであっても、単にそこに羅列される内容を覚えるということだけで学びは完成するということではないと思います。もっと大切なことはそこにある内容が生まれている背景やそれらの内容を総合して考えることやときにはその内容についての批判などを考えることも大切なことであり、学ぶということには重要な要素であると思います。これらが出来ることによって真にその内容の理解が、そして学びが完成していくことになるのだと思います。学びは単に講義を聞くことや本を読み単にその内容を覚えるというだけでは十分ではありません。

 更に人から話を聞くということだけから学ぶことに加えて自ら話しかけるという中にも学ぶということもあるでしょう。このようなときには話を聞いてその話の内容を理解するということとともにその理解した内容を相手に伝えるということによって自らの理解をさらに深めることになり、あるいはその理解について相手に理解してもらい自らの理解を客観的に確かめることにもなると思います。いわゆる"自らを話す"ということであり、これらの聞くこと、話すことを広く含めて自らの"学び"を意味すると思います。聞くことにより、話し手の話を、話し手のひとを理解することになりそして話すことにより相手の人に自らを理解してもらうということになるのであり、そのことによってはじめて、自らの考えを理解してもらうということになるのだと思います。きわめて重要な学びの根幹であると思います。このように考えますと学びという作業は、大学で学ぶ期間だけに行われる特別のことではなく、皆さんのこれからの活躍の中にも続いていくべき作業でなければならないと思います。これから皆さんはいろいろな分野で活躍されていく訳ですがどこであってもいま述べたような学びは続いていくべきものと思いますし続いていかねばならないと思います。

 皆さんの中には在学中に海外を訪問したり、あるいは国内にあっても海外から来ている人と話をしたり、多くの学ぶ機会があったことと思います。国全体がこのようなグローバリゼーションをいろいろな手法で、いろいろな分野で進んでいるように思われます。世界の人と友好関係を築き、ともに発展していこうとする試みでありそれ自体すばらしいことであると思います。このような友好関係を築いていくときに大切なことは何でしょうか。そこにも学びは大切なそして必須な要素であると思います。ある国の人と出会ったときに、まず第一に、お互いが理解し合えることがまず大切と思います。そのために何が必要でしょうか。お互いは全く異なった自然や環境で育っていること、生活習慣も異なり、そして時には学びの環境も異なっているかもしれません。まず相手の話を十分に聞くということが大切なことでありましょう。そして、その人をどのように理解できたかという事が大切だと思います。時には大変難しい場面もあることでしょう。さらに自らをかたり、理解してもらう事も大切であります。"自らを語る"とはどのようなことでしょうか。国際化という交流にはけっしていわゆる自己紹介というレベルでは終わらないいわゆる"学び"が必要なのだと思います。皆さんは本学には"国際日本学"という講義があることをご存知と思います。広くいえば、皆さんが海外の人に、日本の絵画や小説や歴史や演劇やあるいは日本の宗教や生活習慣などを広く伝えることは極めて大切なことです。更に日本人が独自に生んだ学問について、あるいは時には日本の自然について、慣習そしてその歴史や背景についてかたり理解してもらえるように語ることも大切なことです。このようなことを達成するために「国際日本学」という講義があるともいえると思います。そのような皆さんから外国の人に広く語りかけ、聞いてもらい日本を、そして語りかけた自分を理解してもらい、友好を築こうというものです。これも学びの一つとおもいます。グローバリゼーションを例に学びの大切さについてお話ししましたが、学ぶということはきわめて多様な面を持ち、多様な作業である思います。この多様性のある学びの中からその人の様々な発展が生まれてくるということを理解すべきと思います。これから進む道にも必ず新たな学びが必要であり、その学びは自らが行っていかなければならないことであり、その学びこそがあなたがた一人一人の個性でもあると思います。その学びには時におおきな障害もあるかもしれません。また容易に手にしたと思われた学びが実はそうではなかったという局面に遭遇することもあるかもしれません。学びには強い意志、タフな精神が求められるのが通常のように思われます。大学で学んだ学びの基礎を大切にして、これからの活躍の場においても、世界を学び、世界での学びを、力強く展開されることを願っていますし、そんなご活躍をしている皆さんにまたどこかで会えることを楽しみにしています。「いろいろな学びに挑戦しよう」を本日の皆さんへのメッセージとします。

 今日こうしてご卒業を迎えられるには、皆さんのご努力はもちろんですが、皆さんの周りの方々のお力添え、ご指導のあったことに感謝の気持ちを忘れずに、素直に表現していただきたいと思います。そしてその気持ちを広く社会に還元していくことも忘れないでいただきたいと思います。

 以上を持ちまして、皆さんの卒業に際してのお祝いの言葉といたします。

平成26年3月24日
千葉大学長 齋藤 康