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新入生の皆さんへ

掲載日:2013/04/08

 ご入学された皆さん、ご入学おめでとう。

 教員も職員もそしてあなた方の先輩も心から皆さんを歓迎いたします。

 今皆さんは大学生になったということを機会にいろいろな夢を膨らませていることと思います。そして自分に、大学に、社会に、そして皆さんの仲間にいろいろなことを期待していることでしょう。そのような皆さんの夢がいっそう輝くように私たちも全力で応援します。

 千葉大学はその創立は140年の前にさかのぼります。時代によっていろいろな変化を遂げていますが、大学として教育、研究を通して人材育成、社会貢献という領域で特に重要な役割を果たしてきています。現在千葉大学には9つの学部、9つの大学院、19のセンターなどを中心にいろいろな専門性が発揮され、国内のみならず、世界の大学や研究所ともいろいろな分野で積極的な交流を行って、世界にいろいろな分野でその成果を示している文字通りの総合大学です。そして国内のすべての県からこられているのみならず、海外54の国・地域から約1,000名の留学生が学んでおり、皆さんは今、千葉大学全学生14,506人の中の一員となったことを認識していただきたいと思います。

  さて皆さんは入学したら、こんな学びに挑戦したい、こんなことを解明したい、こんなものを作り上げたい、こんなことを追究してみたい、などいろいろ考えていることと思います。私達教職員は、皆さんのそれらの夢が必ず実現してほしいと切に思います。そして、皆さんはそのような夢があるからこそ、今の道を選んだ大きな理由の一つであったことと思います。これからも大切にしていただきたいと思います。その時に考えたことをもう少し具体的に見てみた時、それはある領域の専門の技術や考え方やその表現の仕方などを会得することを考えたのではないかと思います。それは確かに大切な動機であると思います。しかし、その専門性だけで皆さんの夢をかなえるのに十分なのかといいますとそうではないように思います。専門性を会得するということはどのようなことを意味しているのでしょうか。確かに専門領域を学び、その領域の知識を得て、それを実際にいわゆる広い意味での技術、あるいは考え方として使えるようになることだと思います。しかしそれだけで皆さんの夢が、そして課題が解決していくでしょうか。これらの専門性に加えて重要なことは、そのようにして得た知識や技術を人に伝えて、聞いてもらえる、周囲の人々に理解がされていくということが更に大切なことだと思います。このとき自分の専門性をそのまま話しても、他の領域の人々には伝わりにくいことや間違って伝わってしまうことなども起こることがあるでしょう。そのために必要なことは、自ら得た専門性をいろいろな角度から見ることができるということが大切です。このような視点を持つことによって、知識はより客観的なものになると思います。そのためには自分の関心とは一見関連性のないことのように見えるものに対しても、その思考、表現に触れることが大切だと思います。これら一連のことを専門に対して教養という表現がされると思います。自ら専門とする領域の成果をさらに輝かせるためにも教養はきわめて大切な学びと思います。また社会にはいろいろ解決しなければならない課題があります。環境の危機、民族対立、介護問題など挙げればきりがありません。これらの課題に対して、ある一つの領域の専門性によって解決できるという時代ではなくなっています。自らの専門の重要性はもちろんですが、課題を解決するためには専門性の追求のみでは解決できない課題に対して、自らは専門としない領域の必要性を知るような研究者、そして学ぶ人でなければならないと思います。この非専門領域の知識こそ教養というべきものと思います。このように考えると、教養を学ぶというのは専門を学びながらも常に続けていなければならないといえるかもしれません。

 理論物理学者で量子力学の確立に多大の貢献をしたといわれるエルヴィン・シュレーディンガーは著書"精神と物質"の中で"西洋科学は東洋思想の輸血を必要としている"と言っていますが、まさに専門を深めるためには多彩な領域との交流の必要性を述べていると思います。

 具体的なことを申し上げれば、理系の人でも人文科学を学んでいただくことは大切なことであります。また、文系の人にあっても理系のことを知ることは大切であります。

 教養科目と専門科目とあたかも対立するように語られることがありますが、決してそうではなく常に双方が必要であるということです。従って入学して最初に普遍教育のカリキュラムを学ばれます。その教養教育はそれで終わるのではなく、続いて学ぶ専門領域の学びに必要な教養を学ぶきっかけを作る機会であるともいえるかもしれません。

 皆さんは、千葉大学という総合大学での学びが始まるわけですが、総合大学とは単に物理的にいろいろな学部が存在しているというのではなく、いろいろな学問分野が相互に交流があるからこそ総合大学であります。皆さんはこの総合大学という意味を十分に理解され、専門性を深められるということに加えて幅広く、いろいろな分野を積極的に学ぶということに心がけていただきたいと思います。"深い専門性と広い教養を身につけよう"というメッセージを大学生活のスタートにあたって送りたいと思います。

 私たち教員、職員そして先輩の学生はあなた方の大学生活が楽しく、意義ある毎日であるように、あなた方と共に語り、学び、働き、大学を発展させていきたいと思います。ぜひとも、共に学び、遊ぶという気持ちをいつも持ってください。

 本日入学された方々のご家族、関係する方々のご参列に感謝しますとともにお祝い申し上げ、告辞といたします。

平成25年4月8日
千葉大学長 齋藤 康