食習慣は脳機能に影響する―長期間の高脂肪食の摂取による記憶能低下の仕組みを解明―

2025年09月10日

研究・産学連携

 千葉大学大学院医学薬学府博士後期課程3年の岳桐氏、大学院薬学研究院の伊藤素行教授、殿城亜矢子准教授の研究グループは、高脂肪食の摂取などの食習慣が脳の神経細胞において、不要なタンパク質や損傷した細胞小器官を分解・再利用する仕組みである「オートファジー」や、分解酵素を用いて老廃物を処理する「リソソーム」の機能の低下を介して、記憶能を低下させることを明らかにしました。さらに、神経細胞内のオートファジーを活性化することで、高脂肪食による記憶低下が回復することを見出しました。本研究成果は、食習慣が脳機能に与える影響の理解を深める新たな知見を提供するとともに、オートファジー経路を標的とした介入が、記憶障害や神経変性疾患に対する予防・治療の新たな手段となる可能性を示唆しています。
 本成果は、国際学術雑誌PLOS Geneticsにて、2025年8月18日にオンライン掲載されました。

  • 図:高脂肪食による神経細胞のオートファジー機能低下