「多様性と同調」が集団をより強くする ハエの行動から探る「群れの力」の遺伝基盤

2025年07月08日

研究・産学連携

研究の概要
 千葉大学国際高等研究基幹・大学院理学研究院の佐藤大気特任助教、高橋佑磨准教授の研究チームは、ショウジョウバエが天敵などの視覚的な脅威に対してどのように反応するかを解析し、恐怖反応とその緩和に周囲の個体の行動が大きく影響していること、そしてそのような個体間相互作用に関わる遺伝的な基盤を明らかにしました。また、恐怖反応の程度に多様性があり、かつ他個体への同調が存在すると、捕食者に襲われづらくなるといった集団としてのメリットが生じることを発見しました。さらに、集団において生じる、「多様性効果」に関わる遺伝的変異を検出する新たなゲノム解析手法を提案しました。
 本研究成果は、個体の行動が集団のふるまいにどう影響するか、そのメカニズムや遺伝的な基盤を理解するうえで新しい視点を提供するものであり、ショウジョウバエをモデルに、視覚的な情報が個体内でどう処理され、集団に伝搬していくかを明らかにする重要な手がかりとなります。
 本研究成果は、2025年7月7日に、国際学術誌Nature Communicationsで公開されました。

  • 図

    ハエが他個体に同調した際の行動の変化