高齢者の移動支援における新たな可能性の検証 電動カート(グリスロ)は"動く交流の場"!?
-利用者では「外出」約1.9倍、さらには「こころ」、「人とのつながり」まで2.1~5.2倍に-

2023年10月25日

研究・産学連携

千葉大学予防医学センターの近藤克則教授、花里真道准教授を中心とした研究チームは、高齢者の移動支援の1つであるグリーンスローモビリティ(以下、グリスロ:時速20km未満で公道を走ることができる電動カートを利用した移動サービス)導入前後の外出・こころ・人とのつながりの主観的変化の関連を65歳以上の利用者・非利用者599人で検証しました。その結果、電動カート(グリスロ)利用者では、非利用者と比較し、以下のような導入前後の主観的な変化を感じていることがわかりました。

  • 外出機会、行動範囲の増加:1.7~1.9倍
  • 家族・家族以外と話す機会、助け合い、地域活動参加:2.8~5.2倍
  • 楽しみ、生きがい、笑い、明るい気持ちの増加:2.1~2.6倍

電動カートは外出、人とのつながり、こころに良い変化をもたらす"動く交流の場"のような機能をもち、移動支援に留まらない地域の課題を解決する可能性が示されました。今後、本成果を活用して、暮らしているだけで健康で活動的になるコミュニティ(Well Active Community)づくりの推進が期待されます。
本成果は 「老年社会科学」に2023年10月24日に掲載されました。

  • 電動カート利用と導入前後の外出、人とのつながり、こころの主観的変化(n = 599)

    電動カート利用と導入前後の外出、人とのつながり、こころの主観的変化(n = 599)