慢性腎臓病が進行するメカニズムの一端を解明~ケモカインであるCCL5の慢性腎臓病における相反する役割を発見~

2025年10月07日

研究・産学連携

 千葉大学大学院医学研究院 淺沼克彦 教授、木村元子 教授、那須亮 講師、同大大学院医学薬学府博士後期課程のIka N. Kadariswantingshi氏(研究当時)、奥永一成氏、山崎佳穂氏らの研究グループは、塩基性タンパク質であるケモカイン注1)の一つ、CCL5注2)が慢性腎臓病において相反する役割を持っていることを発見しました。この成果は、慢性腎臓病が進行する原因の解明や、進行抑制する方法の開発につながることが期待されます(図1)。
 本研究成果は、American Society for Clinical Investigation (ASCI) が発刊する科学誌 JCI Insight にて2025年9月23日にオンライン公開されました。


用語解説
注1) ケモカイン:白血球などの免疫細胞を炎症や感染のある場所に呼び寄せるための「目印」として働く蛋白質。体の中で細胞の移動や集まりを調整する信号役を担う。

注2 ) CCL5:白血球などの免疫細胞を特定の場所へ誘導する働きをもつケモカインの一種。免疫細胞以外の細胞もCCL5を作っていることが知られており、その機能は免疫防御や炎症、細胞ごとに異なる。


  • 図1. CCL5発現増加はポドサイトには保護的に働くが、M2マクロファージへの分化・変化を抑制し、結果的に糸球体内のM2マクロファージが減少し、蛋白尿増加と慢性腎臓病進行へ導く。