令和8年(2026年)新年の学長挨拶
2026年01月05日
大学からのお知らせ
新年、明けましておめでとうございます。
例年に比べ、年末年始にゆとりのある時間をもつことができ、皆さんそれぞれに新たな気持ちで、この一年を迎えられていることと思います。
2026年の年頭にあたり、日頃より千葉大学の教育・研究・診療・運営の各現場を支えてくださっている教職員の皆さんに、心より御礼申し上げますとともに、一言ご挨拶を申し上げます。
昨年を振り返りますと、千葉大学にとって、決して派手ではありませんが、確かな前進を着実に重ねた一年であったと感じています。その歩みを象徴する出来事が、昨年末から新年にかけて、相次いで報じられました。
まず、12月中旬、NHKのニュースにおいて、激甚化する豪雨災害の軽減を目指し、千葉大学などの研究グループが、富山湾上空の雲にドライアイスを散布し、広範囲に雨を降らせることで局地的な大雨を和らげる実証実験を、本年1月に実施するという報道がありました。
これは、環境リモートセンシング研究センターの小槻峻司教授らによる研究で、政府の大型プロジェクト「ムーンショット型研究開発事業」に位置づけられた、世界で初めての試みです。
さらに、新年明けて1月2日には、やはりNHKの全国ニュースで、免疫の異常によって生じる、ぜんそくや関節リウマチなどの慢性的な炎症性疾患の原因となるたんぱく質を、千葉大学などの研究グループが特定したという研究成果が紹介されました。
医学研究院の平原潔教授らは、免疫細胞が患部に長期間とどまる仕組みに着目し、「HLF」と呼ばれるたんぱく質が、慢性的な炎症の鍵を握っていることを明らかにしました。この成果は、将来的な新しい治療薬の開発につながる可能性を示すものです。
これら二つの研究は、国際高等研究基幹IAARの学際的先端研究支援プログラムや地域中核・特色ある研究大学強化促進事業、いわゆるJ-PEAKSの総合知研究支援プログラムによって支えられてきました。
基礎から応用、さらには社会実装へとつながる研究が、世界と社会の双方から期待され、着実に成果を挙げていることを、大変心強く感じています。
千葉大学では、昨年4月に
「生命、環境、そして社会へ。知の共鳴で未来を拓く千葉大学」
という新たなビジョンを策定しました。以来、その柱となる「研究」「教育」「社会貢献」「経営」「信頼」を高いレベルで実現するため、アントレプレナーシップセンターや株式会社千葉大学コネクトの設立、バイオヘルス・オープンイノベーションハブの開所、ベンチャー投資ファンドの新設、そしてURAの育成を軸とした研究開発マネジメント力の強化など、さまざまな取り組みを進めてきました。
また、入学試験に関わる教員の負担軽減についても、検討を開始しています。これらはすべて、本学の教職員や学生が、イノベーションを楽しみながら、「より良く生きる」ことに貢献していくための土台になるものと考えています。
こうした努力の積み重ねの結果、千葉大学は昨年、入学志願者数が10年連続で国立大学第1位、さらに16年連続で1万人を超えるという記録を達成することができました。
これは、教職員、学生、そして卒業生の皆さんが築いてこられた信頼の表れであり、深く感謝申し上げます。
一方で、日本社会全体を見渡せば、人口減少と少子化が急速に進んでおり、2040年には大学進学者数が約3割減少すると見込まれています。この変化を直視しつつ、研究と教育の活力を将来にわたって維持・向上させるため、10年後を見据えた将来構想の検討を開始しました。今月からは、私自身も各部局を訪問し、皆さんと意見交換を重ねてまいります。
国立大学法人の経営をめぐっては、病院運営を取り巻く困難な状況などを背景に、厳しい報道も続いています。その中で、国立大学協会や病院長会議による継続的な働きかけが実を結び、年末に成立した補正予算および来年度予算には、大学本体や病院に対する一定の支援が盛り込まれました。詳細は追ってお伝えしますが、本学の「教育・研究・医療の質」の維持と向上に確実に活用し、この流れが今後も持続するよう、引き続き取り組んでまいります。
また、本学は2024年9月にC-DEIB推進宣言を行いました。今年は、ガイドラインの策定も含め、その理念を具体的な実践につなげる一年にしたいと考えています。多様性や包摂性、公正性、そして帰属感を支える基盤は、倫理的な誠実さであり、ハラスメントを決して許さない姿勢です。改めて「人としての正しい行動」について、皆さんと共有しておきたいと思います。
さて、今年の干支は、午(うま)です。
馬は、前を向いて力強く歩み出す躍動感と、未来へと道を切り拓いていくしなやかな持続力を象徴すると言われます。変化の大きな時代にあっても、千葉大学がこれまでに培ってきた「知と信頼」を礎に、教職員一人ひとりが希望をもって、同じ方向を見据え、「明るい未来へ向けて」着実に歩みを進める一年にしていきたいと考えています。
As we begin 2026, I would like to express my sincere gratitude to all faculty and staff for your continued dedication to education, research, clinical practice, and university operations at Chiba University. Over the past year, the University has made steady and meaningful progress, with several research achievements gaining national and international attention. We have also advanced our new University Vision, “Shaping the Future of Life, Environment, and Society through the Resonance of Knowledge,” by strengthening research management, fostering entrepreneurship, and promoting innovation.
At the same time, we are preparing for long-term demographic and financial challenges through forward-looking institutional planning, while reinforcing our commitment to diversity, equity, inclusion, and belonging. Building on the knowledge and trust cultivated at Chiba University, I hope that we will continue to move forward together with optimism, resilience, and a shared sense of purpose in the year ahead.
本学に集う教職員の皆さんが、心身ともに健やかに、日々の仕事や学びを楽しみながら、この一年を過ごされることを願っております。
本年も、どうぞよろしくお願いいたします。
令和8年1月5日
千葉大学長 横手 幸太郎