令和4年度千葉大学大学院修了式・学位記授与式 修了生(博士)答辞

  • 修了生(博士)答辞

日に日に暖かさは増し、春の息吹を感じられる季節となりました。本日は、私たち修了生のために、このような盛大な式典を挙行いただき、誠に有難うございます。中山俊憲学長をはじめとする諸先生方、並びにご来賓の皆様のご出席を賜り、厚く御礼申し上げます。また、只今、中山俊憲学長より激励のお言葉を賜りましたことに、重ねて御礼申し上げます。

2020年から流行の始まった新型コロナウイルス感染症は、世界的に猛威を振るい、多くの人々に感染が拡大したほか、人々の社会・経済活動、そして私たちの学生生活にも大きな影響を与えてきました。しかし、多数の医療従事者の方々の不断の努力により、現在、感染状況は落ち着き、本日、4年ぶりに自己判断によるマスク着用での修了式に臨むことができました。医療従事者の方々に敬意と感謝を申し上げます。

さて、私は、千葉大学園芸学部に入学してから本日まで、緑豊かな松戸キャンパス、柏の葉キャンパスに身を置き、研究と実践に伸び伸びと、邁進してまいりました。私は、人と自然のより良い関係の構築を軸とした地域再生に貢献するべく緑地環境管理学研究室に所属し、新型コロナウイルス流行時と同様に、科学への信頼がゆらぎ社会に混乱をもたらした福島第一原子力発電所事故の被災地域の復興の実態をテーマに研究に取り組みました。研究の過程では、被災地域の非常に複雑な事情を理解するほど悩むことも多くありましたが、事故発生時に感じた自身の問題意識に基づき、1つの成果を収めることができました。

研究以外では、大学院博士前期課程の実習科目のティーチングフェロー・補助教員を2か年にわたり、務めさせていただきました。この実習は、生態学や植生、プランニングを専門領域とする先生方と共に、自身の研究対象地である原子力災害の被災地域における復興プロジェクトの提案を行うもので、受講生と先生方、現地の住民の方々をつなぐ役割を担いました。初めての経験で戸惑うことも多くありましたが、自身の研究成果から受講生に実習を通して伝えたいことを考え、実習プログラムとして形にしていく過程は非常に楽しく、現地で受講生が実習に取り組む姿は大きな喜びとなりました。

学生生活を振り返ると非常に多くの方々に支えられ、本日を迎えることができたのだと実感します。研究における調査、実習などの課外活動では、現地の住民、自治体職員の方々に温かく迎え入れていただき、多くのことを教えていただきました。先生方は、私の研究、そして私という人に真摯に向き合い、たくさんの有益なご助言をくださいました。そして、研究の議論もたわいのない会話も盛り上がった気の置けない研究室の学友、陰ながら応援してくださった家族の存在は、私の研究生活の支えとなってきました。新型コロナウイルス感染症の流行や原子力災害の被災地域を対象とした研究から、私が過ごした学生生活のように、研究に取り組み、その周りには先生方や友人、家族がいる当たり前に見えるささやかな日々がどんなに貴重でかけがえのないものか、感じてきました。人と土地、自然などの地域資源との共生を軸とした地域づくりを通して、このような人々のささやかな暮らしを支える研究者となれるよう、努力を続けてゆく所存であります。

本日、私たち修了生一同は、千葉大学大学院を修了し、それぞれが選択した道を歩んでゆきます。それがどのような選択であったとしても、千葉大学で一つの学問分野を修めたという誇りを胸に、将来の科学技術の発展と人々のより豊かな暮らしの実現に向けて、大いに貢献してゆきたいと存じます。

最後になりましたが、本日まで温かくご指導くださった諸先生方、互いに励ましあった友人、いつも見守ってくださった御父母ならびにこれまでお世話になったすべての方々にこの場を借りて心より感謝申し上げます。皆様のさらなるご活躍と千葉大学の益々のご発展を祈念し、答辞とさせていただきます。

令和5年3月24日
博士後期課程修了生代表
園芸学研究科 環境園芸学専攻 福田 昌代