令和3年度 千葉大学入学式 学長告辞

日本の四季は、生きる者すべてに優しく、時には厳しく、美しく巡ってきます。

厳しい冬を越し、草木や花々の新しい芽が空に向かって逞しく伸びる姿は、生命の力強さを感じさせます。鳥の囀りも春の暖かさの中、清々しく、清らかに、私達の心に響きます。

新入生2,423名の皆さん、ご入学おめでとうございます。

本日は新型コロナウイルス感染症対策により本式典にご臨席できなかったご家族や関係者の皆様に対しても、心よりお慶びを申し上げます。この春は、新入生の皆さんにとって、人生の大きな節目となることと思います。千葉大学が、皆さんの抱いている夢の広がりや知的好奇心を満たす学びの場となることを強く願っています。そして、全ての教職員と先輩達は、皆さんの目標達成に共に関わることができることを喜びとし、誇りとしています。

千葉大学は、10の学部と17の大学院の他に多くの教育研究センターを有する総合大学です。千葉県下にある4か所のキャンパスに加え、この4月に新たに東京都墨田区に墨田サテライトキャンパスができました。5つのキャンパスでは、約1,400名の留学生を含む14,000名の学生が学んでいます。千葉大学はこれまでに15万人を超える卒業生・修了生を輩出し、その多くが日本のみならず世界各国で活躍しています。

歴史と伝統ある千葉大学は「つねに、より高きものをめざして」を理念に掲げており、皆さんが社会の様々な分野においてリーダーとしてグローバルに活躍出来る人材に大きく成長されることを期待しています。

新型コロナウイルスの感染拡大により、今、全世界は大きな転換点を迎えています。学び方や働き方のみならず、生活スタイル全般について考え方を大きく変える必要性に迫られています。これらの課題を乗り越え、世界の国々とともに持続的に発展していくには、千葉大学が目指す課題解決型の人材育成が重要になっています。創造性豊かで行動力のある若手への期待が大きくなっています。特に、多様な価値観と人工知能に代表される新しい科学技術を理解し、柔軟な思考力とともに豊かな語学力・コミュニケーション能力を身に付けた若手人材の育成が強く望まれています。千葉大学入学に際して、皆さんにお伝えしたいことは「様々な課題や問題に誠実に向き合い、それを1つ1つ解決できる人材」を目標に大学生活を有意義に過ごしてほしい、と言うことです。

さて、具体的にどのような事に気をつけて大学生活を送れば良いでしょうか? 

高校までの学習との大きな違いは、大学では自分の興味に合わせて広く学修することができる点です。入学した学部でカリキュラムは異なりますが、選択できる多くの科目があります。私は、生き物がウイルスなどから身を守る免疫というシステムについて30年以上研究してきました。千葉大学では、新型コロナウイルスに対する研究も行っています。文系と理系の様々な分野で、世界的な研究をしている先生が沢山います。最先端の研究に触れることができる点も大学のメリットです。是非、自分が行いたいこと、自身の得意とすることを選び、能力を伸ばしてください。最初は分からないことも多いかもしれません。周りの先生や友人、先輩に聞いてみてください。慌てずに、徐々に千葉大学生としての生活スタイルを形作ってください。そして、大学での学修のみならず、クラブ活動などの課外活動も、全力で取り組んでください。全力で取り組むことが重要です。それによって、自分の優れているところと能力の限界を見極め、優れている才能を大いに伸ばしてください。ただし、一つ注意しなければならないことがあります。自由度が大きくなるということは、責任が大きくなるということでもあります。社会のルールをしっかり遵守し、千葉大学生として恥ずかしくない行動をとってください。

もう一度言います。「何事においても全力で取り組んでください。そこで自分の才能を発見してください。そしてその才能を大いに伸ばしてください。」

「つねに、より高きものをめざして」 

未来の明るい社会をつくり出していく皆さんが、千葉大学において知性と教養を高めるとともに、ご自身に備わった才能を発見し、開花させ、その才能に基づく将来の夢が描けることを願っています。そして千葉大学は、皆さんの成長と夢の実現に向けて最大限の支援をすることをお約束して、告辞といたします。

令和3年4月5日
千葉大学長 中山俊憲