令和3年度 千葉大学大学院入学式 入学生宣誓

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新緑が輝きを増し、今年も清々しい風が吹き抜ける春がやってきました。本日は、厳しい状況の中、オンサイト、オンライン双方といった新しい形で、このような素晴らしい入学式を挙行していただきましたこと、中山学長をはじめ、ご尽力いただきました教職員の皆様、関係者の皆様へ、新入生を代表して心より感謝申し上げます。

さて、この1年余りの間、日本および世界は新型コロナウイルスの蔓延により未曾有の事態に直面しています。テレビや新聞でその話題を耳にしない日は一日もありません。

私は、昨年度、博士前期課程の学生と看護師の二つの立場から、COVID-19の流行と向き合うことになりました。 

看護学の研究は、対象者の経験する世界を記述することに始まり、様々な科学的アプローチによって実践につなげ、「豊かな生」を実現することを目指すものです。COVID-19に対する治療法は確立しておらず、家族と面会ができない入院患者は厳しい精神状況に置かれていますが、この間、看護師たちは、看護学が積み重ねてきた感染症対策に関する叡智を結集して、患者や家族に寄り添い、患者・家族双方が少しでも不安なく過ごせるよう、実践を重ねてきました。

さらに、面会が制限された入院患者に対し、IT機材を導入することによって、遠方の家族とのWeb面会を可能とするなど、新たな取り組みも始まっています。 

このように、この一年、困難な状況の中、実践者たちは、これまで蓄積してきた研究成果を活かし、また、手探りの工夫から新しい実践を生み出し、患者を支えてきました。研究分野でも、分野を超えた連携による発展が期待されます。昨今、各分野にてデジタルトランスフォーメーションが推進されていますが、看護学領域においても「看工連携」によって「豊かな生」へ向けた新たな支援を生み出す取り組みが進められており、また、多分野のプロフェッショナルが集まる総合大学の強みを生かしたプロジェクトチームを立ち上げる動きも始まっています。

新型コロナウイルスによる危機が世界を覆っている今、分野を問わず、大学院、研究の門を叩いた我々は、このような情勢にあっても、いえ、このような情勢だからこそ、多角的な視点を持って日々たゆみなく研究に向き合い、ブレークスルーを実現していく使命を担っていると考えます。

私達新入生一同、学を志す者としての矜持を常に忘れず、困難な状況に立ち向かい、真摯な学究に努めることをここに誓い、新入生代表の言葉とさせていただきます。

令和3年4月5日
新入生代表 看護学研究科 北川柚香